2012年11月18日日曜日

カナダよりヨーロッパの旅を終えて 3

 ブダペスト

夜中に着いた。まだ改装中のアボリジニホステルという所を見つけ、まだ開店もしていないのに遅いのだからと泊めてもらった。ホステルのオーナーに強いハンガリーのお酒を何杯も勧められ、酔わされた。晩飯も作ってもらった。それがまた印象的。鴨の脂でゆっくりと煮た鴨肉。一口めはとろける脂の味においしいかと錯覚したが、脂身百パーセントの肉食にはさすがに堪え難かった。それでも断れない。日本人の本質か、自分なのか、ピクルスと水と一緒に流し込んだ。もたれた胃と酔った頭で次の日のホステルを検索する。いつの間にか寝込んでいた。

グランディオでの生活が始まった。ブダペストには四つほどパーティーホステルがある。そのうちの一つグランディオに五日間の予約を入れた。今まで最初の一日目から五日間も予約する事がなかったが、スタッフも弾けた奴らばかりで、来た瞬間に楽しそうだと思ったからだ。思いのほかに、吉か ”狂” か、記憶なくとも思い出深い日々がそこではできた。

初日、グランディオで出会ったスペイン人のアルベルトとアメリカ人のブライアンと三人で街を歩いた。川沿いにある丘に歩いて登りブダペストの街全体を見下ろした。ブダペストは思ったよりも都会で古い街並に真新しいビルディングまでまちまちだった。プラハに色や雰囲気が少し似ていて気に入った街の一つだ。ドナウ川が街を二つに別けゆっくりと流れ、丘の上からの景色は爽やかだった。街全体はほぼ平坦でほとんどの建物は同じ高さに均一されている。たしか教会が二つくらい少し高く建てられていてそれを超える高さの建物を造ってはだめだとか、、、ような気がする。とにかく歩き回った一日だった。

二日目、天候にも恵まれ、爽快な青空の下、ブタペストの名所、屋外温泉へと向かった。途中でスイカを丸々買い三人でかじりながら街を歩いた。回りの観光客におもしろ目で見られながらも、真夏日の日射しにはスイカがともて似合っていたと思う。
温泉!温まれる湯に浸かるのは本当に何年ぶりだったろうか、日本ほど熱々の湯はなかったが、大浴場の心地よさは忘れられない。いくつもの浴槽があり、サウナにスティームルーム、水風呂、流れるプールもあって一日中飽きる事無く時間が過ぎて行った。昼には中でハンガリーソーセージとビール。まったりとした一日だった。
帰る頃には数時間とお湯の中にいたせいでかなりのぼせてしまった。風呂とは意外と体力を消耗する。だるだるになった体を引きずるようにホステルへと帰った。
そこで待っていたのは、船上パーティー。四つのホステルが共同で船を貸し切ってドナウ川をゆっくり下りながらシャンペンをあおりにあおった。楽しかったのは憶えてるが、はっきりした記憶はドナウ川の濁った水のように底を覘く事ができない。

三日目、記憶のない一日は多分ホステルで一日を過ごしたのかもしれない。二日酔いで頭を抱えていたのかもしれない。しかしながらグランディオでの生活に安息はなかった。その日の日記にはただ一言 ”Krafty Kut Show” 夜、クラブに行ったのだ。
大音響で流れるエレクトリックなサウンドは深夜のブダペストに狂喜をもたらした。暗いダンスホールに照明が一瞬にして流れ、混沌に埋もれる人間の表情が曝しだされる。一晩で我を忘れた物達が集い、心から音楽を愛する。爆音は旋律を持たずして音楽と崇められ、切り裂く機械音は律動を放ち人々を先導した。音楽とはとてもすばらしい。

四日目、似たような一日が過ぎたのか日記上には夜の出来事しか書かれていなかった。 “410 Jager Shots & open mic night”
並べられた410個のショットグラス、レッドブルにヤガマイスターを落としてのショット。一人10杯計算。人だかりのできた部屋でヤガがレッドブルに落とされていった。流れるグラスの音と回りの歓声で新たな夜が始まった。
10杯のグラスを抱え中庭にでる。旅仲間と共に乾杯の合図をとる。次から次へとショットをあおる。火照った身体から笑いが止まらない。グランディオの夜が始まった。
その日はオープンマイクナイト、ホステルの地下にあるトンネル構造のバーで皆で音楽を奏でた。楽器が弾けるという事はとてもすばらしい。マイクまで回ってきて勝手に作った言葉で歌を歌った。もう少しインプロを練習しとくべきだと、次なる機会に向けてモチベーションが上がった。

五日目、新たなる晴天に恵まれた日は、昨日打ち解けた仲間達でスイミングプールへと向かった。ドナウ川には大きな島が存在する。橋でわたって行け大きな公園がある。街から疎外されているため静かで自然にも囲まれている。中ではいろんな人たちが達がスラックラインやサッカー、ジャグリングにバトミントン、サイクリングにジョギングなどしていてとても賑やかだった。
そういえばこの日の前日にここにみんなで来てスラックラインをしたのを思い出した。
とりあえずこの日はプールに直行。泳ぎに行った。かなり大きなスイミングプールで大きなスライドや10メートルほど真っ逆さまに落ちて行くスライドなどもあり、まるで子供のようになり、いい大人達がはしゃいでは走りかなり盛り上がった。
その日の夜もオープンマイクがあって遅くまで歌を歌ったりジャムしたりした。

六日目、旅立ちの日だった。皆に別れをいい駅へと向かった。なかなか別れがたい場所だったが盛大にお別れをしてもらい涙ながらクロアチアへと向かう列車へと飛び込んだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿