2012年11月21日水曜日

カナダよりヨーロッパの旅を終えて 4

 クロアチア

ブダペストからクロアチアの首都ザグレブを経由して海岸沿いの街スピリットへ夜行列車を使い電車旅をやった。往復券が片道より安かったのを憶えている。
始めは色からだった。電車の中で目を覚まし朝日に照らし出される車窓の景色を眺めた時大きな感動を味わった。岩石の質の違いからだろうか、山々は真っ白にそびえ立っていた。いろんな国を回ってきているが、道路の色も土のせいか今まで見た中で一番白に近かった。
クロアチアに入ったと感じたのはそこからだった。花に木々、そしてオレンジの屋根に真っ白な壁、どれもこれもに感動した。国境を越えるという事は時に大きな違いを味せてくれる。
スピリットに着いた足でそのままフェリーでバラク島に向かった。バカでかいバックパックを背に腹に、ギターを抱えながら歩くのはとてもきつい。落ちついた雰囲気のきれいな島だったがブダペストの後の静かさがあまり面白そうではなかった。二時間ほど島を歩き回った末スピリットに帰る決断をとった。スピリットに帰った後何をするかあれこれ考えた。ザダールに行こうかとも考えた。バスの時間と運賃を見る。そんなに高くはない。ナイトバスが出ていた。これにしようか迷っているうちに、少しだけスピリットの街でも見ておこうかと思い街へと足を向けた。

スピリット

ディオクレティアヌス宮殿と呼ばれる1500年以上前ほど昔に建てられた旧市街がある。住民達はその跡地に移り住み、宮殿を取り壊す事無くとても古い石垣で生活している。アドリア海に面するビーチもあり海鮮料理もかなり盛んだった。野菜市場や花市場、観光都市ではあったが活気に満ちていておしゃれなカフェやレストランもたくさんあった。分厚く重々しい壁はその歴史を過持ち出し、秀でる文化が感じられた。言うまでもないだろうが、すぐさま宿を見つけスピリットを経験する事に決めた。

着いた宿で出会ったアルメニア人アルマンドと街を歩いた。とても小さな街で、雰囲気がよく写真を撮るのが楽しかった。観光者で溢れ、皆カメラ片手にパチパチと勢いよくシャッターを切っていた。何回も違うスポットで同じ人に会う。そうしてオーストラリア人のアマンダと知り合った。それから三人で行動して写真を撮りまくった。
その日の夜は三人でまったりと飲んで過ごした。

次の日は三人でレストランに行き、俺は大きな焼き魚を食べた。久々の魚に感動した。それからビーチに向かった。ちょっとした海岸沿いの崖を見つけそこから何度も飛び込んで遊んだ。そこで簡単なディープウォーターソロもできて結構面白かった。
それからその晩はホステルで会った奴らと街にあるクラブへと飲み歩いた。踊ったあげくに皆でビーチに向かい真夜中の海に飛び込んだのを憶えている。

次の日街を歩いていると、ブダペストでつるんでいたアメリカ人のグループと偶然はちあわせた。突然の再会に大声をあげ、夜、酒を飲みに行く事になった。またしても飲む理由ができてしまった。それから山を越え海沿いの公園を一周した。三時間ほどかかりほんとにくたくたになった。それからまたビーチに向かいとりあえず皆と昨日と同じ飛び込み崖でおちあった。グループの人数が15人以上になってみんなでギター弾いたりわいわいがやがやアドリア海を前に楽しんだ。夜はまた同じクラブへと足を向け飲んだくれた。

スプリットで三日過ごした後、二度目の皆とのお別れをしてシベニク行きのバスへと乗り込んだ。




シベニク

この街に来た目的は、近くにあるクラーク国立公園に立ち寄るためだった。次の日のクラーク公園行きのバスの時間を調べ、とりあえず街へと出てみた。シベニクもまた古風な文化を感じさせ、とても雰囲気のいい街だった。坂道が多く迷子になるのがとても楽しかった街である。それでも小さな街で地図なしでも楽しむ事ができるところだった。丘の上にある古城の跡地からの景色もまた絶景だった。天気にはあまり恵まれなかったが、クロアチア独特の白とオレンジの住宅街は印象的だ。驚いた事に日本人の観光客がたくさんいた。みんな5〜60代の奥さん方で、観光ガイド本片手に団体でガイドに連れられて、活気に満ちていた。

ホステルに帰ると、数人のバックパッカーがいて旅の話で盛り上がった。しかしながらクラーク公園に共に行く仲間は見つからず、次の日は一人で公園へと向かう事になった。

とりあえずチェックアウトをすませ、早朝からバス停へと向かう。観光名所行きにしてはとても静かなバス停だった。それでもクラーク公園に着いたときには驚いた。どこからか溢れ出したのかいろんな国籍の観光客で溢れていた。多分シベニクには一日観光で来る人たちが多いらしい。そこでも日本人の観光おばちゃん達にたくさん会い、登山家達の挨拶がてら一人旅の日本人が珍しいのか驚かれた。
森の中を緑色に光る川があちらこちらから流れ出ている。天気にも恵まれて爽やかな自然の中を歩くのは心地がいい。透き通る水面の下には魚達が戯れている。日射しが森のすき間から通り道に流れ込んで光と陰にコントラスを作り出す。しばらく自然というものに触れていなかったので新鮮な空気がおいしかった。木々の間から滝が見えた。その迫力はかなりのものがあった。金色の底から溢れるように流れ出る滝の先端は、幻想的な景色で時間を忘れるさせてくれた。滝から吹き荒れる風を感じる肌は、寒気さえ憶えさせるほど豪快だった。
が、一つだけ後悔、、、泳ぐ事ができなかった。独りだったというのと、俺が行ったときは誰も泳いでなかったから、泳ぎそびれた。
ひなたぼっこをしてバスを待つ事二時間、帰りのバスに乗り込みシベニクに戻った。
その足でザダール行きのバスに乗り込み、少し忙しい旅が続いた。





ザダール

夕日とともに辿り着き、シベニクで勧められたホステルの名前だけをもとに、バス停を歩いて回る。いろんな人に聞いて、なんとか見つかった。駅からそんなに遠くなく歩く事30分ほど。なかなか雰囲気のいいホステルだった。スパがあり、そこで何人かがバーベキューしていて仲間に加わった。その後一人で街に歩きに出て、夜をとことこ過ごした。

朝起きてチェックアウトをすませ、イタリア行きのフェリーを探した。それから昨夜会った皆と街を歩いて回り、ザダールの名所、海のオルガンの上で夕日がくるまで過ごした。海の潮の流れを利用してパイプに音を流すそのオルガンからは、不思議な音調とさざ波のハーモニーが奏でられ、クロアチアの最後の印象として紅に染まる夕日とともに心に残る。夕日とともに輝きだしたのは、光る地面。何百と埋められた照明が、いろんなパターンで光り輝きだした。丸く形とられた光のパネルは夕日と反射し虹色に輝きだす。何人もの子供達がその光の上ではしゃいでいる様子は、幻想的で美しかった。暗くなるにつれて、その陰はボンヤリとしていき、まるで人間の陰だけが実体から外れ、社会というものから浮き出てきた亡霊かのごとく、七色に光るサークルの上を踊っていた。
フェリーの時間が迫ってき、皆と別れを告げイタリアへとの新たな旅路へと歩んだ。
フェリーの入り口で出国検査があり面白かった。
フェリーの甲板から、ザダールの端にある光り輝くサークルが見え、それが小さくなるのを眺めながら自分は何を考えていたのか、今となっては全く思い出せない。


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