2011年8月10日水曜日

スモールネーションフェスティバル

ウェールズの広大な緑と、古風作りの家々に囲まれた小さな村の片隅にある農場でスモールネーションフェスティバルは開催された。総員全部で約400から500人ほどだろうか、グラスティングバリーと比べると本当に小さなイベントで最大から最小のフェスティバルへの移行となり驚いた。ステージは二つ、お店やイベントが数えられるほどで、家族ずれが大半を占めていた。外での火を使ったパフォーマンス、ジャグリングや(棒回し)を繰り広げる人たちで日が暮れるまで賑やかだった。夜は静かになり、暗闇の中にぽっかりと光る月明かりだけがスモールネーションの草原を優しく照らしてくれていた。

三泊四日のスモールネーションでのカフェタンゴはそれでも一番賑やかに、最後まで晩餐に明け暮れた。おもしろいことにオーストライアから知り合いのカーラとその友達サイモンがカフェの仲間はいったし、インドで会ったリサとデインも今回のカフェタンゴの成員となりフィン、ラフ、ジョー、ジョン、ジョーシュとで楽しいフェスティバルは仲良く始まった。初日はカフェの準備で忙しく、看板のデザインやキッチン作りに追われた。今回はピザを提供。粘土とセラミックで覆われた大きなオーブンでピザを90秒で作り上げる予定だ。夜は皆で飲んで明かした。

二日目、期待よりも多くの商売敵と予想以下の参加者のせいで売り上げは伸びず、静かなピザ作りで始まった。それでも音楽をかけ仲間は皆、楽しく踊りながらのカフェタンゴは小さなフェスティバルの中で多いに目立ち、歓声を受けた。夜、暇が開いたときに(ほぼ暇な状況だったが)ライブを見に行ってみてウェールズの地方のバンドの音に感動した。氷の塊が粉状になったラインの先に、朝日が昇るまで歌ったり踊ったり、お客用の折りたたみ椅子で投げ合いをしたり、夜はいつも狸のお祭りのように壮大に盛り上がった。

三日目、翌日と変わりもなく静かなカフェは翌日の疲れとともに皆を眠りへと連れ込んだ。
平凡な一日は長く感じられ、終わる事のない落胆は疲れをも拡張させる。音楽さえもゆったりと流れ、小さなフェスティバルはより小さく感じられた。夜中になると自分たち用にキノコピザを作り皆で味わった後、幻想的な時間がゆったりと流れる中一人一人、手に小道具を持ち、音楽を作り始めた。ボールに鍋ぶた泡立て器にざる、スプーンにトマトの缶詰め、などなどアイディアを競い合って愉快なリズムを刻んだ。デインがチベットから持って来た仏教の鈴は皆の注目のアイテムとして取り上げられ、夢中で鈴棒で音を響かせた。その統一された繊細な旋律は虹の彼方から仏を呼び、空へと舞い上がる阿弥陀仏として俺の頭に虹色に焼きつき、夜中、凛という始まりの音とともに別の世界へと意識を蒸発させてくれた。深夜には寒気が襲いキャンプファイヤーの準備を始めたが、都会の者がキャンプをすると缶詰めの中に小さな火を灯し皆で輪になることになった。空腹に襲われ想像力をフルに活動させピザの残り物でいろんなバーベキューを創作し、コーヒーのかき混ぜ棒に刺し小さなトマト缶の火であぶり味わった。そんな中リサが持ち出したマシュマロを見て創案したのがマシュマロピザ、後にミッドナイトマラドールとして呼ばれるようになったが、たっぷりのチョコとバナナ、ウォーナッツにハニーとマシュマロをトッピングしたピザを考案。皆の注目を浴び、夜中のスナックとしてその日活躍した。早朝、霧に囲まれた草原は優雅にも紺色に空気を染め朝日を迎える。キャンプ場に歩き、皆で朝日を待った。空に流れる飛行機雲がまるで世界を変える巨大隕石のように数々飛んでいく中、冷えきった世界に暖かい太陽が流れ朝はいつものように訪れを告げていた。

晴天はテント暮らしにとって災難だ。照り着く日差しはテントの中を灼熱の地獄と変え、疲れきった体を汗だくにして目覚めさせる。重たい体を押し起こしてシャワーに向かう。冷たい水で汗を流し、カフェに向かう。朝食をジョンとともに過ごし、ゆっくりとかたずけを始めた。晴天に恵まれた四日間は嵐のように過ぎ、地面に残る片付けられたカフェの四角い後がまるで作られた不思議の国の塞がれた出口として二度と戻れない時間と空間のように感じられた光景だった。こうして皆でウェールズにあるフィンの親父さんの家に向かった。





疲れきった体はウェールズの家にある静かな自然の中で過ごすと癒しが速い。早朝から朝ご飯を作ったりし、夕方はビーチでバーベキューをすることになった。早速、肉とビールを買いに車で出かけそのままビーチへ。そこで見た景色は広大な丘から一気にビーチと化す英国独特の姿、ビーチから二、三十メートルもいっきに登り建つ岸はオーストラリアのグレートオーシャンロードをも思い出させる光景だった。海にはオットセイが時々見られ俺らの注目を集めた。しかしながら英国は天気が悪いし寒い。冷たい風の吹く中ジョー、ラフ、デインと俺らは海へと飛び込んだ。その間フィンがバーベキューの用意をしてくれ寒くなった体をバーベキューセットを囲み暖まった。久々の肉はまた格段とおいしく食感もとてもよかった。ラフがサンマも持って来ていて焼き魚をもしてくれた。バーベキューが終わると皆でフリスービーやサッカーをビーチでして楽しんだ。驚いたのは潮のひき方、一メートルほどだった満潮時から三時間後、そこには五十メートルほどのビーチが何キロも続いていた。日が暮れるとキャンプファイヤーをして体を温めた。真夜中まで続いた会話は消え行く炎とともに穏やかに過ぎ去り、家路へと向かった。

次の日、ブリストルに向かった。体を休め、次の計画を考えた。それからの日々は、カーラとサイモンにバーベキューに誘われ、彼らの友達のうちでバーベキューをしたり、夜のブリストルの街と音楽を楽しみにジョーシュと外へ出たりして過ぎていった。チェスも楽しんだし、ポーカーもしたりして一週間ほど流れていった。土曜の夜はジョーシュが家の窓からゲロをぶちまけるほど飲んだ。三回ほどクライミングジムへと向かい、なまりきった体に筋肉痛を叩き込んだりもした。

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