2011年7月1日金曜日

インドに魅せられて 最終章


バクソ

12日間のバクソ生活は長過ぎたかもしれない。バラナシ行きを断念。バクソの心地よさと、45℃を毎日超えると言われる南に向かうことの気怠さが、今の後悔と屈辱に値するのかと思うと胸が痛い。イギリス行きを待ち、特に何もすることなく毎日が過ぎていった。それがバクソの思い出かもしれない。しかしながらまたいつかこの土地に帰りアクセサリーの作り方を学び瞑想に浸りに帰りたいと思うとバクソは心地よい場所かもしれない。ここに来て頭に入ったことは、人は後悔なしには行動できないということだ。決意は常に問われ、後悔は後に来る。しかしながら後先を予測しながら戸惑ってばかりでは結果はついてこない。今はイギリスに滞在、大きな後悔は期待以上の経験に埋め帰られ、またいつでも帰れるだろうと前向きな気持ちと、この機会を逃さないでよかったと新しい冒険に目を向けている。

とりあえずバクソ、ここでは毎日ギターを片手に、ヴォッカを煽り、酒と草に溺れ毎日が淡々と過ぎた。バクソは上り坂一つの小さな場所で、カフェと装飾屋、音楽と瞑想の盛んなエキゾチックな場所である。青々した山に囲まれ、マックレオ ガンジとダラムカの間に位置し、一時間もあれば全てを知ることができるだろう。しかしながら誰もがこの土地に長居し、だらだらと生き続ける訳は、インドという凄まじい環境から抜け、猛暑と混沌から離れることができるからかもしれない。もちろん俺がこの場所でゆったりできたことは言うまでもない。

毎日、早朝に目が覚め、ストレッチとジャグリングに励み腹を空かす。
坂を下りカフェに向かい人の群がりに混じり朝食をともにする。
ハシーッシが回ってき時間が止まる。
ギターを弾いたり、映画を見たり、会話したりし、時間が過ぎる。
馴染みのカフェを回りながら、馴染みの顔に挨拶する。
チャイを求め次のカフェへ。
いつの間にか日は沈み、馴染みの場へギターを片手に坂を登る。

ベルギー出身のローラ、マニラから共に旅をしてきたが共に演奏をバクソで始めた。彼女の声はそこにいる皆の注目を引きつけレストランは静寂に包まれる。演奏はいつもアドリブ、少々のミスはおかまいなし、ジャズとジプシーのリズムにローラの奥行きのある歌声はインドの真っ赤なカラフルなカフェに虹のように流れ込む。静寂は盛観に代わり永遠に感じた演奏は幕を開ける。凛とした圧巻は喝采と共に観衆は意識を取り戻し、その場の雰囲気は活気と雑談に包まれ息を吹き返す。最高のパートナーだった。

二週間はつかの間に過ぎ、皆との別れを告げ猛暑と混沌の街、デリに向かうことになった。




デリ

早朝五時頃だろうか外の騒がしさとともにデリの街に着いた。思っていたより楽しかった。夏場のデリ、天候も45度を超える灼熱の状況の中、毎日街を歩き回りショッピングに明け暮れた。インド料理もおいしく今までで一番安かった。ゲストハウスはかなり汚く、蒸し暑く寝るのには苦労したがそれ以外は生活できる場所として思い出に残る。五日とかなりの時間を過ごしたがイギリス行きの興奮とインドへの別れ惜しみに苛まれ、その騒々しい生活を堪能した五日間だった。旅疲れのせいか、空港へはタクシーを利用、楽に辿り着いた。早朝四時、飛行機に乗り込むとさすがにわくわくしてき、疲れきった体にアドレナリンが回り、上昇気流とともに真っ青な空に包まれイギリスを夢見た。

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