2012年5月14日月曜日

ベルリンでの生活

 マイナス20度の経験とチャリで通う仕事。
初めてマイナス二十度以下を経験した。寒いなんてものではなかった。痛かった。頬に痛みを感じることも感覚を失い手袋をしていた手でさえもかじかんできた。足の指先は凍りついたように痛みを伴い、太ももでは履いていたジーンズの布の感覚が鮫肌のように肌を擦っていた。
そんな中、一着6パウンド、役千円の安物ジーンズと、上着三つ、シャツにパーカーにジャッケトのみだったので仕事仲間からも驚かれた。それでも極寒の中、風邪という風邪はひかず元気に毎日チャリで通勤した。

街に流れる川の凍結と、その氷上を歩く体験。
今年のベルリンの冬はかなり短かったと聞く。それでも二週間ほどだったが家の近くの川が完全に凍結した。雪もそこそこ降って一週間ほど真っ白な雪景色へと街は染まった。帰り道の夜中、橋の上から川をのぞくと、当ても無く続く一つの足跡が川の真ん中を終わり無く続いていた。
次の日の朝、家の窓ガラスまで凍りつくほどの氷点下。それから決心。歩いて仕事に行く事にした。正解!川は完全に凍りつきたくさんの人が通行、賑わっていた。何人かはアイススケートで川を走る。数キロクラスのスケートコースだ。アイスホッケーをして遊んでいる若者。ソリまで持ち出して遊んでいる子供達。冷えきっていた街の暗い雰囲気に一気に笑顔が溢れていた。
自分の家から仕事場までのほとんどが川沿いだったので、凍った川の上を通勤路として滑りながら一時間以上欠けて仕事場に向かった。凍った川の上を歩いたのも初体験。スケートシューズを持ってなかった事を後悔した。

週末のパーティー、クラブ通い。
ベルリンではパーティーを探す事に苦労はしないだろう。いつでもどこでも。特に春先から夏の終わりにかけてまでは、オープンエアーパティーと呼ばれる集まりは面白かった。

ベルリンを訪ねに来た友人達と、ベルリン観光
JP, ことジョンポールがベルリンを訪ねてきた。初めてのベルリン観光。三ヶ月以上も住んでいたのにベルリンの事を何も知らなかった。ベルリンの壁を共に見に行き、ユダヤ人のお墓を参拝。ヒットラー演説の大きな門を見て、チェックポイントをまたいだ。そうやって一日は観光で過ぎて行き、飲んで話して、過ぎて行った。それからヤナとノラと合流し一晩中飲み明かした。
ジョンはシェフでもあったので共に料理をして、調理について熱く語った。
四日間くらいだったろうか、時間は一週間前の二日酔いのように消えて行って、ジョンはプラーグへと向かった。


ストリートアートと絵の練習
ベルリンには所々にストリートアートが描かれている。見渡す限りタグがされていたり、ビル一つ分の巨大な絵が描かれていたり、大きさも種類もいろいろあって楽しい。見飽きる事のない素晴らしいものから、雰囲気を台無しにしてしまう落書きまでそれぞれだが、ストリートアートだけを目的でベルリンを歩いてもとても面白く、終わる事を知らない。ベルリンに来た目的のひとつは絵を描きたかったからだ。その終わる事を知らないストリートアートは僕にもっと絵を描かせるやる気へとつながった。ベルリンに来てよかったと思える一番の理由だ。

グッドナイトサーカス
ドイツの音楽のセンスには少しがっかりさせられていた。どこに行ってもテクノが流れている。イギリスでフェスティバルの経験をした後だったので余計に比較してしまって文句ばかり出ていたところだった。
そこでベルリンをでる最終日、そんな偏見を変える目的も含めて、お別れ会として友達をグットナイトサーカスのコンサートへと誘った。ベルリンのバンドでシャーレストン音楽を奏でるバンドだ。会場は名前はわからないが、まるで小さなお城のように暗闇にそびえ立ち、重い扉を開くと大理石でできたホールが広がり、場違いな場所にでも来たように少し気後れと興奮が胸に湧く。中にはまるで映画の中のような小さなダンスホール。心が躍った。
ビールを片手にライブを待つ。みんながこんなとこでいいのかと心配していたが、三十分くらい静かな音楽の中で待った後グットナイトサーカスは堂々とステージに経ちお気に入りの曲Moonlightからコンサートは始まった。一分と経たないうちに会場はたくさんの人が手を取り合い踊りだした。その旋律はアップテンポでじっとしていられなくなる。足が勝手にステップを踏み、ただただ笑顔になってしまう。そんな幸せを運んでくれる音楽がそこには溢れていた。友達もみんな気に入ってくれて、気づけばステージの一番前で踊っていた。ほんとに楽しい夜だった。別れの淋しさも忘れさしてくれる音楽で、一日は過ぎて行き、朝日の出るまで友人と語り合ってベルリンの生活は幕を閉じた。


御託
ヨーロッパのほとんどの学生は国から学費を借りて学校へ行く。卒業してから働いて金を国へと返すのが一般的らしい。国民に技術を身につけさせるのは国の役目と。日本もそうなってほしいものだ

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