2011年5月4日水曜日

インドに魅せられて 2


ジョドプール

この街は青色の建物に囲まれる大きな砦がある。石造の巨大なその砦は青々としたその街の象徴のように優雅にたたずんでいる。ここで泊まったヨギゲストハウスもその一つ、凛々しく青色に輝いていた。アリーナとヤコ、トーマスと一緒にシェアしたその部屋はまるで古くから伝わる伝統的な雰囲気に囲まれ、大理石でできた床により逸走高級感を漂わせた。屋上も感動するほどの絶景と居心地を馴染ませるクッションで飾られていた。
入り組んだ道には、数多くのティーショップが街を賑やかに活気づけ、色とりどりのサロンを扱っている店が華やかに街を彩っている。
街を歩き一つのティーショプに立ち寄った。そこで試飲したサフロンティーに恋をして思わず購入。他にも数多く試したが、どれもこれも品がよく香ばしかった。
次の日、ジョドプールのメランガル砦に見物に行った。丘の上にある砦に、急な坂を炎天下の中、息を切らしながら向かう。途中の景色も楽しみがいがあり、ゆっくりと。300ルピーとかなりの高額だがその甲斐はあった。雄大な建物はゆったりとした風と優雅に飛び交う鳩に包まれ、静かに歴史を語った。天空の城ラピュタを思い出させる街と砦だった。
この街では久々に鶏肉に出会った。ちょっと高級なレストランに入り食べたチキンティッカは格別とおいしくベジタリアン化された胃にどっかりと流し込まれた。酒屋をその街で発見、店にあった一番安いウィスキーとラムを手にジョドプールに乾杯した。
ジョドプールには四日滞在、途中出会ったニコとトーマスと共にジャイサルマーに向かった。



ジャイサルマー

インドでお気に入りの街の一つだ。インドに来る機会があるならばぜひ立ち寄ってほしい。そして砦内のホテルに泊まることをお勧めする。格安でしかも感動の絶景。どのホテルでも独特の優雅な雰囲気があり、家具のセンスもよく、落ち着いた部屋と風景を提供してくれるだろう。そして、ここの街の砦だけが唯一人が住んでいいらしい。小さいがその街の砦内の雰囲気はまさに中世時代のまっただ中、男ならまるで騎士にでもなったような、女性なら貴族の箱娘の気持ちにでもなり浮かれるだろう。ロマンがある。入り口の門にはたくさんの物売りがいてかなり騒がしいが、中はとても穏やかで居心地がいい。この街では特に何もすることはないが雰囲気を味わうには最高。
街全体は二時間もあればぐるりと回れるほどの小さな街で、その隅に小さな丘がある。10分ほどで登りきれるその場所から、夕日を楽しむことができ、夕方になるとたくさんの観光客と物乞いによって賑やかになる。夕日とともに子供達が歌を歌い、インドの民族演奏家が音を奏でるその丘で、一つの家族に会い、手作りの楽器を観せてもらった。その後その家族の家へと招待され、チャイを共にインドの音色を奏でてくれた。ドアもトイレもない、水も住所ですらないそのスラムにある小さな一軒で15人以上の大家族を支える男達は愉快ながら逞しくあった。不思議とテレビがあることにインドのテレビ文化に感動すら憶える。楽器と文化、歴史と家族についていろんな話をした。15の娘は一度しか会ったことのない相手と既に結婚が決まっていたり、女性は客人達が食べ終わるまで食事には手を付けなかったり、何千を超える神様がいたり、とてつもない数の家族構成やインドの楽器の扱い方を教わったりした。次の日夕食に招待され晩餐を共にもした。
最後の夜、ヤコとアリーナに会い、夕食を彼らの砦内のホテルで共にした。ラジャスタンでは唯一のおいしいベジタリアンだった。そのレストランから、この街唯一の違法でないバングショップが見下ろされる。まさに神業、インド人が宗教「神」を信じる気持ちがわかる気がした。インドでは葬式や結婚式にアヘンやマリファナを吸う風習が残っており、未だにその文化に強く根付いているのもそのせいだろう。お酒は御法度、肉は神様、文化の違いとは末恐ろしい。夜、神々しく輝く街の砦の天辺で見下ろした光る音の中に大きな港を見つけ、時代を突き抜ける経験と、統一された精神の中で駆け巡る信仰心の深さに魅とれ、深く神々に感謝と、慈悲を浴びる自我の喜びに感嘆したのもこの街ならではの経験かもしれない。。。

次の日の朝六時のビカネル行きのバスに乗り遅れた。

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